
他では聞けないくすりのはなし
![]()
![]()
今回は、薬の飲み方の基本的な注意点を書きます。
錠剤やカプセル剤を飲むときに、うまく飲み込めずのどにひっかかってそこで溶けだしてしまうと危険な場合があります。どこで溶けても体の中に入れば一緒だからいいんじゃないと思われるかもしれませんが、溶けた薬が原因となって、食道に炎症を起こしたり、ひどいときには潰瘍を起こしてしまう場合があります。
どうしてそんなことになってしまうかというと、錠剤やカプセル剤を飲むときに十分な水で飲まないということがまずあげられます。それから、ねたきりのケースや寝る前に薬を飲むときに、あおむけの姿勢のままで飲んでしまうと薬がひっかかってしまうことがあります。またさらにお年寄りでは、唾液の分泌量が少なかったり食道の機能が低下していたりすることが危険因子になります。
- 症例1
- 22才、男性。膀胱炎の診断にて処方されたドキシサイクリン(テトラサイクリン系抗生物質)1カプセルを水を飲まずに服用し、食道につかえる感じがしたもののそのまま就寝したところ、翌日よりものを飲み込むときに痛さ(嚥下時痛)を感じた。その後4日間改善が見られなかったため受診。食道内視鏡にて多発性の食道潰瘍を認め入院となった。安静と流動食による保存療法にて自覚症状は速やかに改善し、1週間後の食道内視鏡では潰瘍は瘢痕化していた。
- 症例2
- 26才、男性。歯科医院で抜歯後、フルルビプロフェン錠(非ステロイド性消炎鎮痛剤)を投与され、1錠を水を飲まずに服用したところ、2日後に前胸部痛、嚥下時痛が出現した。シメチジンおよび水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム液剤の投与により軽快した。
アスピリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤、テトラサイクリン系抗生物質、カリウム製剤などが代表的な原因物質でとしてあげられています。非ステロイド性消炎鎮痛剤は胃の中で普通に溶けても、胃を荒らすことがありますが、のどや食道の粘膜に直接触れると刺激が強すぎて問題になりやすいといわれています。市販薬の風邪薬でもそうなる危険性があります。
薬剤性食道潰瘍の発生率は、ある調査で年間10万人あたり3.9人程度という報告があります。あまりその頻度は高くありませんが注意が必要です。

薬による食道潰瘍を防ぐには、十分な水(100ml程度が目安)といっしょに飲んで、しかも横になって飲まずに起きあがって飲み、飲んだ後もすぐに横にならない ということが大事になってきます。
薬を水なしで飲めると自慢する人がいるという話を聞いたことがありますが、のどにつかえた場合、潰瘍になってしまいますのでやめて下さいね。
(参考文献)
大谷壽一ら:薬剤による食道潰瘍の実態と対策,薬局,51(5),7-12,2000
(2000/05/27)
![]()
制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)