
他では聞けないくすりのはなし
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最近の話題 アジ化ナトリウム中毒
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今回は、他からの転載です。オリジナリティがないことを最初にお詫びしておきます。また、用語が専門的になっていることもお詫びします。
カレー毒物混入以降、全国で毒物混入事件が相次いでいる。医療機関においては、もし事件が発生した場合の対応を日頃から心掛けて置く必要がある。中毒の原因物質となりうるものには多種多様なものがあるが、今回、新潟・三重県で続いてアジ化ナトリウム混入事件があったので、その毒性、処置等についてまとめた。
アジ化ナトリウム(NaN3)は 防腐剤として、市販の等張緩衝液、自動血球計算機用希釈液、肝炎抗原検出用試薬に0.1%含まれる。最近、自動車のエアバック装備が急速に進んでいるが、エアバックにはガス発生剤として100〜200g前後のアジ化ナトリウムが含まれ、点火装置の酸化鉄、酸化銅等と反応、爆発して窒素が発生し、一瞬で膨らみ、衝突時のショックを和らげる構造になっている。以下に各項目について示す。
毒性機序
・ミトコンドリア内のチトクロム酸化酵素のFe3+と結合して、酵素の働きを阻害し、細胞呼吸を障害する。
・医薬品の亜硝酸剤に類似した持続性の血圧低下作用を示す。
・酸と反応すると、強い不快臭があり、皮膚・粘膜刺激作用があるアジ化水素を生じる。
中毒量・致死量
ヒト中毒量 5〜10mg
ヒト経口最小致死量 700mg(13mg/kg摂取した29歳女性が不整脈、心筋障害により、3.5日後に死亡)その他、1〜2g、10〜20g、15〜20g、55g服用後死亡した例あり
体内動態
ヒトで経口、経気道、経皮により、速やかに吸収。とくに、発汗時は皮膚から吸収されやすい。
経口の場合は、胃酸と反応してアジ化水素を生じる。
中毒症状
〈経口の場合〉
悪心、嘔吐、下痢、頭痛、めまい、ふらつき、複視、しびれ、発汗、胸部不快、胸痛、息切れ、 肺水腫、血圧低下(ときに血圧上昇が先行する)、徐脈、頻脈、不整脈、心室細動、失神、痙攣、 昏睡、ショック、乳酸アシドーシス、白血球増加、メトヘモグロビン濃度の上昇
〈アジ化水素に暴露した場合〉
眼・鼻・気道粘膜の刺激症状、咳、喀痰、胸痛、気管支炎、肺水腫、頭痛、衰弱感、めまい、失神、血圧低下など
処置方法
(特異的な拮抗剤はない)・亜硝酸ナトリウム投与は、ヒトでは臨床上有効ではない。(理論的には、解毒効果があると考えられるが、血球への親和性が弱いため効果がなく、血圧低下を悪化させる可能性もある。)
〈経口の場合〉
・催吐は突然のショックや痙攣を惹起する可能性あるため、避けることが望ましい。
・交換輸血、血液灌流、血液透析、腸洗浄は有効性を示すデータがない。
(1)胃洗浄 (2)吸着剤(活性炭40〜60g→水200ml)
(3)下剤(硫酸マグネシウム30g→水200ml、マグコロール1包→200ml)
(4)輸液 (5)循環管理 (6)呼吸管理
(7)対処療法
痙攣(セルシンなど)、血圧低下(ボスミン、イノバンなど)、代謝性アシドーシス(メイロン)など
〈暴露した場合〉
(1)新鮮な空気下に移送。
(2)汚染された衣服を脱がせ、眼や皮膚を大量の水で十分に洗い、うがいをさせる。
(3)その他、経口の場合の(4)〜(7)を行う。
※少なくとも48〜72時間は経過観察。
※治療に関しては、医療スタッフが患者から発生したアジ化水素に暴露する可能性があるため、保護具の着用および処置室の換気、胃洗浄液の管理などにも十分注意する。
【参考資料】
1)急性中毒情報ファイル第3版,廣川書店,1996
2)辻川明子他:月刊薬事,薬業時報社40(6):167-170,1998
※ この項は、国立名古屋病院のDI NEWS(平成10年10月号外1号)を転載しました。
(1998/10/31)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)