
他では聞けないくすりのはなし
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注射打とうと思ったら、薬がない!
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当直時間中は、実にいろいろ思ってもみないことが起こります。先日、ゴールデンウィーク中に当直をしていたときに、いきなり知らない男性が薬局に入ってこられました。年は60才くらいの方です。
「私、東京から来た旅行者です。実は、ずっとインシュリン打っているのですけど、インシュリン打とうとしたら空で、焦ってここに来ました。この薬分けてもらえませんか?それ打たないと私、血糖が上がってしまってまずいのです。助けると思って、お願いします。」と注射薬を見せながら突然、懇願されてしまいました。
糖尿病の方で、飲み薬で血糖がコントロールされている方もいらっしゃいますが、体の中にインシュリンの絶対量が少ない方もおり、そういう方はインシュリンを注射し、血糖を下げる必要があります。インシュリンを注射することにより血糖をうまくコントロールされている方が、注射を打たないでいると、血糖が高くなり大変なことになります。この方は、一日3回注射されており、朝は注射したけど昼打とうとして無いことに気がつかれ、あわてて近くにあった当院に飛び込まれたということです。

病院の薬局は、患者さんは医師の診察を受けた後、医師が書いた処方箋がないと薬がお出しできない仕組みになっています。いきなり薬局に来られて、薬をくれといわれても困ってしまいます。結局、当直事務の人を通じて、当直婦長、内科当直医師を呼び、診察を受けてもらって、処方箋により薬をお渡しして一件落着となりました。旅行中なので当然のことながら、保険証も持っておらず、自費でいいということだったので、結構高くついてしまったことでしょう。
その方にとってはせっぱ詰まった事態で、わらにもすがる思いで薬局に駆け込まれてきたと思いますが、持病を持った方は旅行など遠くに行く際、やっぱりきちんと自分の薬を携帯していただきたいと思いました。
でもまだこの方は、自分が糖尿病で、治療にインシュリンが必要なのだという自覚が十分にできていたからよかったです。ともするとひどい状態でも、糖尿病という自覚も、薬の必要性の認識もなく、どんどんと症状が悪化していく方がいらっしゃるものですから。
(1999/05/13)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)