
他では聞けないくすりのはなし
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人間の体内時計のサイクルを研究した人がいます。ドイツのユルゲン・アショフという人です。彼は外の世界から遮断された部屋に26人の人を1ヶ月近く生活させて、さまざまなデータを取り、その結果、人間のサイクルが、24時間ではなく25時間であることをつきとめました。
なぜこの1時間のずれがあるのか不思議です。地球時間のサイクルは24時間ですから、我々は、この差を1日のうちどこかで調整しながら生活していることになります。
ヒトの場合、体内時計はちょうど目のすぐ裏側に位置している視床下部の視交叉上核とよばれる部分にあり、神経ネットワークによって脳の中心部にある松果体という豆粒大の器官と結ばれています。網膜から光情報を受けて毎日24時間に修正しながら、夜になると松果体からメラトニンを分泌させて全身に夜であることを知らせ、一日周期のバイオリズムを司っています。
このメラトニンという物質を薬として考えると、睡眠リズム障害や時差ボケの解消に有用だと言われています。現在、いろいろな研究がされているようです。
また、ちょっと前にメラトニンがアメリカで騒がれたのは、「若返り薬」と考えられたからです。免疫システムを回復させることで老化を遅らせる作用があるのではというのがその根拠らしいのですが、真偽の程は定かでありません。
アメリカでは医薬品ではなく栄養補助食品として、健康食品店やスーパーマーケットなどで買うことができ、数百万人以上が常用しています。日本では栄養補助食品としても医薬品としても販売されていませんが、週刊誌などで紹介されて、旅行者らが大量に持ち帰るなどかなりの量が流入していると考えられます。最近ではインターネット上で購入もできるようです。
しかし、メラトニンを長期に服用した時の、人体に与える影響についてはまだ分かっていない状態で、研究者の間では副作用を懸念する声が高まってきています。
(1997/11/13)
補足・追加
全国から、中毒相談を受け付けている大阪中毒110番へのメラトニンに関する問い合わせが、1996年に4件、97年には13件、98年には、今まで10件というようにその数は急増しています。そこへ電話する人は限られていますから、実際には相当数の副作用があるものと思われます。その主なものは、意識障害です。
具体的には、毎日2錠飲んでいた若い女性が職場で急に意識を失った例や、酒といっしょに飲んだ人が錯乱した例があります。(幸いなことに死亡例はないようです。)
現状では、前に書きましたように、アメリカで栄養補助食品として、健康食品店やスーパーマーケットで比較的簡単に買うことができ、日本では認められていませんが、個人輸入やインターネットなどで入手することが可能です。
メラトニンを含有する健康食品を服用することで、重篤な副作用が起こることが考えられますから、このような安易な服用をすべきではないと思います。(その原因は、その合成課程で生じた副産物か、錠剤を使うときに使う混ぜもののせいではないかと指摘する専門家がいます)ある程度、政治で規制することも考えるべきなのでしょう。
(1998/07/05追加;1998/10/16更新)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)