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他では聞けないくすりのはなし

病院の当直での出来事

 我々薬剤師でも、病院によっては、夜間当直しているところがあります。私が以前勤めていた病院もそうでした。何をやるかというと、夜に急変した患者さんのために薬を調剤したり、注射を払い出したりという仕事が主です。夜中はいろんな思いもしないことが起こります。その当直での出来事・・・。
 夜中の2時くらいにいきなり電話が鳴って起こされました。電話の相手は、実にか細い声の若い女性でした。精神科にかかられているとのことでした。
「睡眠剤をいっぱい飲むと・・・死んじゃうんですか?」
「えっ?何ですって?」
「今、睡眠薬を飲み過ぎちゃったんですけど・・・私死んじゃうの・・・?もうどうなってもいいんだけど・・・」
 最近の睡眠薬は、比較的安全にできており、大量に飲んでもまず死に至ることはありません(不眠症と睡眠剤(2)を参照して下さい)。でも、この電話を夜中に取ったときは、さすがにたまげました。眠気がいっぺんに覚めました。下手な対応をすると、その方が何をするか分かりませんから。電話で私のできることは・・・・・。いろいろ考え、その方の話されるのをよく聞いた上で、救急車を呼ぶように説得しました。

夜

 結局、その患者さんはまもなく、私が勤めていた病院に救急で運ばれて、胃の中を洗浄するなどの処置がとられ、事なきを得ました。しばらく薬の効果が切れるまで眠られた後に、帰られました。本当にほっとしました。
 我々病院薬剤師が行っている薬に関する指導の際も、患者と接することは大変難しく感じています。しかし、そこには目の前に患者さんがいて、その表情を見ながら接することができます。あまり理解されていないようだとか、生返事だなあとか分かります。しかし、電話での応対は、それ以上に大変です。何故なら、相手の顔の表情など分からず、与えられる情報が声しかないからです。こちらの話し方も気をつけないといけません。そんなことを感じた出来事でした。
 また同時に、救急の事態の時に、薬剤師として何ができるのだろうかということも考えさせられた出来事でした。

(1999/01/07)

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制作・著作: 佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

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