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他では聞けないくすりのはなし

医療はサービス業(薬剤師編)

 「医療はサービス業」のところで取り上げましたが、もうひとつ「本音で語ろう」ネタを。今度は薬局関係です。

 昨年九月、母(58)が骨折をして整形外科を受診し、痛み止めの薬をいただきました。同時期に、母は別の内科医院に通っており、内科の薬を飲んでいました。整形外科を出てから思い出し、薬ののみ合わせが気になりました。
 土曜日の午後のことで、受付は午前中で終わっていましたが、その日に受け取った薬と、内科の薬を持って、私一人で出直しました。
 受付カウンタのシャッターの向こう側で一人の男性が仕事をしていました。薬に関係する方かどうかは分かりませんでしたが、薬を見せて「きょうもらったこの薬と、内科医院でもらった薬をいっしょに飲んで構わないですか」と尋ねてみました。
 その薬を見ることもなく、返ってきた答えは「よその薬は分かりません」でした。その態度に、あきれてしまいましたが、「薬ののみ合わせが不安です」と訴えたところ、逆に「内科では、何の薬と言われたのですか」と逆に聞かれてました。
 私は「胃腸薬だと思うのですが・・・・・」としか答えられませんでした。その男の人は、袋の中から数種類の薬の一つを取り出して「これは胃薬だと思います。前に見たことがありますから。ほかは、分かりません」と「分かりません」ばかり。
 そして「痛み止めは、痛くなければ無理にのまなくてもいいので、一緒に飲んでおかしいようだったら、のむのをやめたらどうですか」との返事。おかしくなってからでは遅いから、薬を持参して尋ねているのに、まったくあてになりません。結局、母は痛み止めの薬はのまずに済ませました。こういう場合、どうすべきなのでしょうか。
(1995年6月5日中日新聞 「本音で語ろう」より)

 これを見て、みなさんはどう思われるでしょうか?まるでサービス業ではありませんね。窓口で対応した人が、薬剤師かどうかという点は疑問が残ります。病院の中では、患者さんやその家族には、白衣を着ていれば、男の人は医者に、女の人は看護婦さんに見えてしまうものです。また、薬局の窓口には、必ず薬剤師がいるとは限りません。この例の場合、たとえ対応したのが薬剤師でなくとも、奥から薬剤師を呼んでくるということはできたはずです。ま、そういうことはともかく・・・。
 薬の飲みあわせは、非常に大事なことです(くすりののみあわせ(薬物間相互作用)については、こちらにあります)。他の病院でもらっている薬と、一緒に飲んで副作用が起こる危険性もあります。外来患者さんに薬を渡すときに、「他の病院で、薬もらっているんだけど、ここでもらった薬と一緒に飲んでいいかねえ」と聞かれることがよくあります。でも、それがどんな薬であるのかが分からないと、答えようがないのです。ただ血圧の薬とか言われても、血圧を下げる薬は、いっぱいありますから。そういう意味で、ちゃんと他でもらった薬を持参して聞きに行っているのですから、この方のとった行動は正しいのです。問題は、対応した側ですね。
 話は変わりますが、このホームページを見て、患者さんからご質問のメールを頂くことがあります。文字だけのごく限られた情報の中でお返事するということは、とても難しく感じています。基本的には、私の答えられる範囲でお答えし、詳細については、おかかりになっている病院・診療所の医師・薬剤師にお聞きになられることをおすすめしています。
 でも、そうやっておすすめするときは、ちょっとドキドキものです。だって、中には上のケースのような(もちろんこれは極端な例ですけれど)対応をとられてしまうことも無きにしもあらずですから(無いことを願っています)。だから、「病院の薬局で聞いてみたら、親切に教えてくれました」なんていうメールが届くと、ほっとします。
 患者さんは、薬のことを知る権利がありますし、我々薬剤師も、調剤した薬について(薬の名前や、薬の効き方、副作用や薬の飲みあわせを含めて)説明する義務があります。平成9年4月に改正された薬剤師法の第25条の2に、薬剤師の薬に関する情報提供の義務ということが謳われています。これは、やった方がいいということではなく、やらなければならないことです。
 ということもありまして、最近は、薬を病院・診療所でもらうときに文書で説明がしてあることがありませんか?それはそれで、ちゃんとお金が取られているんですけど・・・(現在のところその診療報酬は、月に70円となっています)。

(1998/11/14)

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制作・著作: 佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

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