ホーム > 他では聞けないくすりのはなし > 医療について考える >

logo.gif

他では聞けないくすりのはなし

医療はサービス業

 今回は、医療関係者に対しての一言です。
 中日新聞の紙面に、医療に関する投書を扱っている「本音で語ろう」というコーナーがありました。患者さんからの医療に関する疑問・訴えに対して、メディカルブレインといわれている医療従事者のグループが答えるというものです。今現在、そのコーナーがあるのかどうか知りませんが(中日新聞が購読できない地域に住んでいるものですから)、昔はその紙面を読み、一医療従事者として、学ぶところが多いと思ってみていました。
 その中で、こんな投書がありました。

 二年前に始めて子供を出産しました。その際に二カ所の産婦人科で、医者の言葉に嫌な思いをしたことをお話します。
 生理が止まり「妊娠かもしれない」と近所の産婦人科に行き、検査を受けました。私はテレビドラマのように「おめでとうございます。妊娠三ヶ月です」といった言葉をかけてくれるのだろうと思っていました。
 ところが医者は一度も私の顔を見ようとせず、じっとカルテを眺めたまま「あ、陽性ですね」とボソッと言いました。意味が分からないので「陽性って、妊娠のことですか」と尋ねると「そうですよ」と相変わらずカルテを見たまま、顔を上げようとしません。
 人と話をするときに、こんな態度を取る人は普通じゃありません。私は医者を代えることにしました。
 二カ所目の産婦人科は、年配の医者でした。この医者は私のおなかを触診しながら「あれ、動かんな。死んどるのかな」と言ったのです。もし異常があったとしても、患者に告げるには、それなりの言葉の選び方があるはずです。実際には異常はなかったのですが、怒りで体が震えました。もう二度とこんな所に来ないぞと決心しました。
 世の中には、患者のことを真剣に考え、献身的に仕事をしている医者がたくさんいることを知っていますが、私が体験したように、患者の気持ちを考えない医者も少なくありません。その人たちの言動が、医療不信を高めているのだと思います。
(中日新聞平成6年4月11日「本音で語ろう」より引用)

 この投書を見て、どう思われますか?そんなひどい医者がいるの?と思われた方もいるでしょうし、私も同じ様な経験をしたというような方もいらっしゃることでしょう。これは何も医者だけの問題ではありません。同様のことは、看護婦でも薬剤師でも放射線技師でも検査技師でも起こりうることですよね。この現状を、我々医療関係者は深く考えなければなりません。

天使と悪魔

 厚生省の国民意識調査によれば、「医療はサービス業」という認識を大部分の人が持っています。国民はそう思っていても、我々医療関係者の自覚はどうでしょうか?患者を診てやっている、世話をしてやっている、薬を出してやっているというような高飛車な態度ではないでしょうか?
 話は変わりますが、英語で病院のことを"hospital"ということは中学生でも知っています。語源は"hotel"または"host"と同じ所から来ています。また、"hospitality"という言葉を英和辞典でひいてみますと、「(お客などを)手厚くもてなすこと、歓待」と書いてあります。hospitalに勤める人は、患者さんをホテルマンのように手厚くもてなさなければならないということです。
 とはいえ、実際は、医療関係者はとかく忙しくて、なかなか患者さんの細かいところまでは気を配ることができないときがあります。でもそれは言い訳に過ぎません。
 また、最近のCMで「サービス悪けりゃ、命取り〜」というフレーズを繰り返し歌っているのをよく見ます。このCMを見るたびに、どきっとしているのは私だけでしょうか?
 我々、医療関係者は、患者さんに対して、威圧的な態度を取ることは慎まなければなりません。医療設備や技術だけでなく、スタッフの対応ぶりも、患者さんに厳しく採点される時代になってきています。患者さんにとってもこれからの時代は、医療を選ぶ時代となってきています。
 我々は、「医療はサービス業である」ということを再認識する必要があります。また、患者さんの立場としては、不満に思うことはどんどんと言うべきでしょう。

(1998/09/06)

 カテゴリに戻る

 

saty@d-inf.org

制作・著作: 佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

(http://d-inf.org/drug/)