安全性に関する情報
インターフェロンアルファー2b・リバビリン併用療法による脳出血について
2002.09. シェリングプラウ



本併用療法中に、脳出血が認められた症例が報告されております。
本併用療法にあたっては、特に以下の事項にご留意下さい。

1.本併用療法中に脳出血が認められた症例があります。
2.高血圧症、糖尿病又はその既往歴、家族歴のある患者、耐糖能障害のある患者には慎重に投与して下さい。
3.高血圧症及び糖尿病の両疾患を合併する患者では、脳出血が生じるリスクが高いので注意して下さい。

本併用療法を適正に実施して頂くために厚生労働省の医薬安指示(平成14年9月10日付)に基づき「使用上の注意」を改訂致しました。
 

【改訂理由】
 本併用療法中に、死亡例を含む「脳出血」を起したとする症例が4例報告されました。いずれの症例も高血圧症又は高血圧症と糖尿病を合併した症例でした。また、硬膜下血腫の症例も1例報告されています。
 
  高血圧症、糖尿病は脳出血のリスクファクターとなる疾患で、インターフェロンアルファー2bの添付文書では、高血圧症、糖尿病の患者は慎重投与の対象となっています。また、単独投与の場合の重大な副作用には脳出血を記載し、注意をお願いしております。
 今回本併用療法で脳出血の報告があったことから、レベトールの添付文書及びイントロンAの添付文書のリバビリンとの併用の場合の注意にも追記し、さらに注意をお願いすることとしました。

 1.「慎重投与」の項
  ・高血圧症、糖尿病又はその既往歴、家族歴のある患者、耐糖能障害のある患者を追記。
 2.「重要な基本的注意」の項
  ・高血圧症及び糖尿病の両疾患を合併する患者では脳出血が生じるリスクが高いので注意が必要であることを追記。
 3.「重大な副作用」の項
  ・脳出血
   国内の自発報告に基づき,より一層の注意喚起を行うため追記。

今回の「使用上の注意」の改訂根拠となった症例の概要は以下のとおり。ご参照下さい。
 


【症例概要】 

症例1
患者 1日投与量投与期間 副作用
性・
年齢・
体重
使用理由
(合併症)
経過及び処置
男性
50代
49kg
C型慢性肝炎
(糖尿病,高血圧)
インターフェロンアルファ-2b:1000万IU連日、6日間(6回)
リバビリン:800mg、6日間 
投与6日後
(投与中止日)
 

中止1日後 

中止2日後

中止3日後

深夜意識障害が発現し,緊急入院。
CT所見で、左視床からの広範囲の出血と脳室穿破を認める。意識レベルが急速低下し,昏睡に陥いる。
インクーフェロンアルファー2b及びリバビリン併用療法中止

濃グリセリン・果糖の投与開始。

呼吸停止のため,挿管,レスピレーター管理開始。

死亡

併用薬::グリチルリチン・グワシン・DL‐メチオニン配合剤、ウルソデスオキシコール酸、ベシル酸アムロジピン、バルサルタン、インスリン

臨床検査値
   投与13日前  投与5日後 中止1日後
赤血球数(×10^4/mm^3) 439 431 434
ヘモグロビン(g/dL) 14.4 14.0 14.1
ヘマトクリツト(%) 42.7 42.3 42.8
白血球数(/mm^3) 4200 2300 3100
好中球(%) 54.5    
好酸球(%) 0.5    
好塩基球(%) 0    
リンパ球(%) 34    
単球(%) 11    
血小板数(x10^4/mm^3) 12.8 9.3 7.4
収縮期血圧(mmHg) 148 140 156
拡張期血圧(mmHg) 80 70 86

 

症例2
患者 1日投与量投与期間 副作用
性・
年齢・
体重
使用理由
(合併症)
経過及び処置
男性
60代
90.5kg
C型慢性肝炎
(糖尿病,高血圧)
インターフェロンアルファ-2b:600万IU連日、15日間(15回)
リバビリン:800mg、16日間 
投与14日後

投与16日後
(投与中止日)
 
 

中止1日後

 

血小板減少が発現。

午前5時頃、突然意識障害が発現。
頭部CTの結果,左被殻に大きな出血巣,脳幹圧迫を確認。
併用療法及び併用薬投与中止。
濃グリセリン・果糖投与開始。

脳ヘルニアが進行し,死亡
剖検により脳出血,くも膜下への穿破及び脳ヘルニアを確認。
 

併用薬:ウルソデスオキシコール酸、ヒトインスリン(遺伝子組換え)

臨床検査値
   投与4日前  投与14日後 投与16日後(中止日)
赤血球数(×10^4/mm^3) 4.08 3.97 4.39
ヘモグロビン(g/dL) 13.9 13.4 14.6
ヘマトクリツト(%) 41.8 39.6 44.3
白血球数(/mm^3) 6200 4200 6600
血小板数(x10^4/mm^3) 12.6 5.3 5.5
収縮期血圧(mmHg) 148 140 156
拡張期血圧(mmHg) 80 70 86

症例3
患者 1日投与量投与期間 副作用
性・
年齢・
体重
使用理由
(合併症)
経過及び処置
男性
50代
60kg
C型慢性肝炎
(高血圧)
インターフェロンアルファ-2b:600万IU連日、14日間(14回) 週3回(1回)
リバビリン:600mg、19日間 
投与18日後
(投与中止日)
 
 

中止3日後

中止6日後

中止8日後

中止14日後

中止31日後
 

突然頭痛を訴え倒れたため、病院へ救急搬入。
CTで小脳出血と診断され、入院。
インターフェロンアルファ-2b及びリバビリン併用療法及び併用薬投与中止。濃グリセリン・果糖、塩酸ニカルジビン投与開始。

バルサルタン、ニフェジピン投与開始。

塩酸二カルジピン投与終了。

濃グリセリン・果糖投与終了。

トリクロルメチアジド投与開始。

リハビリテーション実施後、症状は軽快し、退院。
 

併用薬:アスコルビン酸・パントテン酸カルシウム、ニコチン酸トコフェロール、バルサルタン、塩酸セリプロロール

臨床検査値
   投与11日前  投与4日前 投与6日後 投与18日後
(投与中止日)
中止8日後 中止15日後 中止29日後
赤血球数(×10^4/mm^3)   355 376 372 376 365 346
ヘモグロビン(g/dL)   12.1 12.6 12.7 12.8 12.4 11.8
ヘマトクリツト(%)   36.1 38.1 37.8 37.5 36.9 35.0
白血球数(/mm^3)   5200 4600 5900 9700 7000 5200
血小板数(x10^4/mm^3)   10.3 10.5 9.5 20.5 27.3 19.5
プロトロンビン時間(sec)       10.9           
活性化部分トロンボプラスチン時間(sec)       32.1           
空腹時血糖(mg/dL)   100 93 190 89 96 85
収縮期血圧(mmHg) 204   170 246 160 120 102
拡張期血圧(mmHg) 110   104 130 90 80 80

 

症例4
患者 1日投与量投与期間 副作用
性・
年齢・
体重
使用理由
(合併症)
経過及び処置
男性
40代
66kg
C型慢性肝炎
(高血圧)
インターフェロンアルファ-2b:1000万IU週6日、9日間(8回) 
リバビリン:800mg、9日間 
投与9日後
(投与中止日)
 
 

中止1日後
 
 

中止2日後

中止3日後
 

中止5日後

中止6日後

中止8日後

中止18日後

中止35日後

中止40日後

中止44日後
 

ベシル酸アムロジピン投与により血圧はコントロールされていた。
午前2時頃、右上下肢脱力発現。
頭部CTで左被殻出血を確認。
脳内出血に対し保存的加療開始。
インターフェロンアルファー2b及びリバビリン併用療法及び併用薬投与中止。カルバゾクロムスルホン酸ナトジウム、トラネキサム酸、濃グリセリン・果糖投与開始。

血腫増大を確認。
CT誘導血腫吸引ドレナージ術施行。
カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム投与終了。

トラネキサム酸投与終了。

呼吸状態悪化し、胸部X-Pで間質性陰影を確認。ステロイドパルス療法(コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム)及び人工呼吸器管理実施。

コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム投与終了。ウリナスタチン投与開始。

コハク酸プレドニゾロンナトリウム投与開始。

呼吸状態は改善し自発呼吸となる。ドレナージを除去、意識レベル改善。

ウリナスタチン投与終了。

グリセリン投与終了。

コハク酸プレドニゾロンナトリウム投与終了。

入院期間延長にて右上下肢片麻庫及び失語症に対しリハビリ中。
 

 

併用薬:ベシル酸アムロジピン

臨床検査値
   投与開始日  投与5日後 投与9日後
(投与中止日)
中止3日後 中止18日後 中止19日後
赤血球数(×10^4/mm^3) 514 511 513     453
ヘモグロビン(g/dL) 15.7 15.6 15.4     13.9
ヘマトクリツト(%) 47.5 46.9 47.0     42.0
白血球数(/mm^3) 4910 4330 4980     8560
血小板数(x10^4/mm^3) 11.2 9.0 7.5     13.7
空腹時血糖(mg/dL) 122 155     122
食後血糖値(mg/dL) 142        
収縮期血圧(mmHg) 158 134   142 122  
拡張期血圧(mmHg) 70 78   70 70