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他では聞けないくすりのはなし

プラセボ(偽薬)って?

 プラセボって言葉を聞いたことがありますか?プラセボ(placebo;プラシーボともいいます)とは、薬の成分が入っていなくて薬理作用のないものです。中味が入っていないのですから効くわけないと思われるかもしれませんが、薬だと信じこむと効くことがあるということは広く知られています(少なくともいままではそうでした)。
 メルクマニュアル家庭版(http://mmh.banyu.co.jp/)をwebで見てみますと、ラテン語でプラセボとは、「私は気に入るでしょう」を意味すると書いてあります。また別の本を見ると、「なぐさめる」または「喜ばせる」の意味であると書いてあります。placebo(プラセボ)の語源は、ヘブライ書の詩篇116の中にあり、医学辞書に初めてこの言葉が現れたのが1785年、「平凡な手段あるいは薬剤」と定義され登場しています。さらに1955年に米国Harvard大学のH. K. Beecher氏が、プラセボ効果を検証した論文を発表して以来、プラセボ効果は広く世間に知られるようになりました。
 プラセボ効果は心理的な要因が大きいものですから、全ての人がプラセボに反応するとは限りません。大脳皮質が関与している症状、たとえば頭痛、各種の痛み、悪心、平滑筋の収縮などはプラセボによる影響を受けやすいとされています。
 臨床の現場では、プラセボは2つの使われ方をします。
 一つは、実際に臨床で使われるものです。例えば、不眠を訴える患者が引き続いて催眠薬を希望するような場合に、薬の連用による薬物依存になることを防止するため、プラセボを与えることがあります。この場合、患者が医師と薬に対して信頼感をいだいていることが大事なことになります(そのことは普通の薬を飲むときでも同じことが言えます。効くと思って飲むのと、効くわけないと思って飲むのとでは効き方が違ってきます)。
 もうひとつは新薬の臨床治験の際、実際の薬の効果を正確に調べるために、プラセボ薬と実際に薬が入っているものとで比較して薬効などを調べるというものです。そのことは、「新薬が世に出るまで(2)」に書きましたので、ご覧下さい。

くすり

 ・・・とプラセボに関して一般的なことを書きました。
 さて、先日新聞を見ていましたら、こんな記事が目にとまりました「砂糖でも薬と信じさせれば効くはウソ」。デンマークのコペンハーゲン大学などの研究グループがNew England Journal of Medicine誌5月24日号で報告しています。こちらで抄録を見ることができます。
 http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/344/21/1594
 日本語訳は下記ページにあります。
 http://www.so-net.ne.jp/medipro/nankodo/xforeign/nejm/344/344may/xf3441594.htm
 この論文は、これまでに発表された114種類の臨床試験データ(患者数計約7500人)を分析した結果で、グループは「新薬の効果を調べる臨床試験を除いて、偽薬の使用を正当化することはできない」と結論づけています。つまり、プラセボは新薬の臨床治験以外に使っても意味がないんじゃないのってことです。そもそも、プラセボ効果のさきがけとなった1955年のH. K. Beecher氏の論文が、偽薬と本当の薬の治療効果を比べた約10の研究をひっくるめて「偽薬でも35%に効果があった」としていましたが、根拠は薄弱だったと疑問符を突きつけているわけです。
 でも本当にそこまで言い切っちゃっていいものなのでしょうか?私は個人的にプラセボ効果というものはあると思いますし、プラセボを投薬して痛みがおさまった患者さんを実際に知っています。それはなんとなくそうなんじゃないというレベルであって、EBM(Evidence Based Medichle;科学的根拠に基づく医療)という観点からすると言葉が出なくなってしまいますが・・・。
 New England Journal of Medicine誌は、基本的に掲載されるのが難しく、提出された分のうち実際に掲載されるのは1割程度であると言われています。それほど査読が厳しい専門雑誌に掲載された論文だけに、結構インパクトがあると思うのは私だけでしょうか?
<プラセボに関しての関係リンク>
http://www.jpma.or.jp/05note/kk40/chap01/q01_59.htm
http://homepage1.nifty.com/namekihifuka/text/placebo.html
http://www.ffortune.net/spirit/sinri/placebo.htm
http://www.gld.mmtr.or.jp/~nmc/main18.htm
http://www.nikkei.co.jp/pub/science/page/honsi/9805/placebo.html
http://www.health-station.com/daitai11.html

(2001/06/16)

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