
他では聞けないくすりのはなし
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心臓が悪い方や脳梗塞を起こしたことのある方は、血液を固まりにくくする薬、例えば、アスピリンなどをのんでいることが多いと思います。それは、血液が血管の中で小さな固まりができて、その固まりが脳血管に行ってしまって脳の血管を詰まらせたら脳梗塞が起きてしまいます。また、同様に心臓に行って心臓の血管が詰まったら心筋梗塞が起きてしまいます。そのために、血液を固まりにくくする薬をのみます。
血液を固まるのは、血液の成分中の血小板が集まるためです。ころんで膝を怪我して、出血したときにしばらく血が出てきますが、そのうちに止まってしまうのは、血小板が凝集するためです。抗癌剤を投与しますと、血小板が少なくなる場合がありますが、あまり低くなりすぎると危険です。
アスピリンは解熱鎮痛剤として有名ですが、少量の投与(1日量で100〜300mg程度)では解熱鎮痛の作用は示さずに、血小板が集まるのを抑える(血小板凝集抑制)作用を示します。血小板の数を減らすわけではありません。
しかし、そのような血液をサラサラにする薬をのんでいる方が手術されることになった場合、しばらくの間その薬をのむのをやめなくてはいけません。手術により血が止まらなくなって大量出血してしまう危険性があるからです。
血小板は骨髄というところで絶えず作られていて、その寿命は7〜10日だとされています。毎日ちょっとずつ入れ替わっています。しかし、脳梗塞などの血栓性の疾患がある方ではその寿命が短いと言われています。
薬の種類により、手術可能な日数が違うわけですが、それは血小板凝集抑制作用がとりかえしがつくものかつかないものかによって違うわけです。「とりかえしがつかない」という言葉はイメージが悪いので、「すぐに元に戻らない」と言い直した方がよさそうです。難しい言葉を使ってしまうと、可逆的であるか不可逆的であるかということです。のむのを止めてから手術可能になる日数が長い薬は、のんだらすぐには元に戻らない不可逆的な作用であるため、のむのを止めてから、血小板が全部入れ替わる7〜10日経たないと薬の作用が消えません。

手術などの前にのむのをやめる薬と、のむのを止めてから手術可能になる日数を挙げてみます。
一般名 代表的な商品名 中止する日数 アスピリン バファリン、バイアスピリンなど 7〜10日 塩酸チクロピジン パナルジンなど 10〜14日 シロスタゾール プレタールなど 2日 塩酸サルポグレラート アンプラーグ 1日 イコサペント酸エチル エパデールなど 7〜10日 ベラプロストナトリウム プロサイリン、ドルナーなど 1日 トラピジル ロコルナールなど 2日 塩酸ジラゼプ コメリアンなど 2日 ジピリダモール ペルサンチンなど 2日 イブジラスト ケタスなど 3日 酒石酸イフェンプロジル セロクラールなど 2日 ニコモール コレキサミンなど 1日 ニセリトロール ペリシットなど 1日 リマプロストアルファデクス プロレナール、オパルモンなど 1日 ワルファリンカリウム ワーファリンなど 3〜4日
もしもここに書かれてある薬をのまれている方で、これから手術を受けようという方に対するお願いです。これらの薬を手術の前にのむのを止めてくださいというのは、医師の指示となりますので、医師や看護師から「しばらくやめてください」と言われると思います。それまでは自己判断でのむのをやめないようにしてください。
(2005/08/28)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)