
他では聞けないくすりのはなし
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1998年5月に、脳梗塞・脳出血後遺症に使う薬で、使用量の多いアバン(一般名;イデベノン)など4成分5品目が薬価削除になりました。そのことは、脳代謝改善剤に効果なし を参照して下さい。
更にその部類に属する他の薬についても、ちゃんと薬が効くかどうかということが審査されることになりました(それを再評価といいます)。それは、今年の1月29日に31成分が指定されました。
今までのこの系統の薬は、ホパテン酸カルシウム(商品名:ホパテ)と同じ効き目かどうかを検討し、承認を受けていました(ホパテは、1990年に肝障害により成人領域の脳代謝障害の適応症はなくなっています)。
1987年10月に新たに「脳血管障害に対する脳循環・脳代謝改善剤の臨床評価方法に関するガイドライン」ができて、以降それに従って承認がされるようになりました。大きな変更点は、薬の効き目を確かめるために、プラセボ(偽薬;成分が入っていないもの)を用いてダブルブラインドテスト(二重盲検法のこと;それについては こちらをご覧下さい)を行うことになったことです。このガイドラインができてからは、1993年4月に一般名アニラセタム(商品名;サープル、ドラガノン;二社併売)しか承認されていません。
より厳しく、薬を評価しようという流れにより再評価がされようとしています。お上のもうひとつのもくろみとしては、年々高騰する医療費をなんとかおさえようという意図もあります。
再評価の流れとしては、指定後3ヶ月で今まである資料を提出し、臨床試験が必要な場合には、再度、追加の臨床試験をして効果があるということを証明しなければいけません。
その扱いは、1)既存の資料で有用性が認められるもの 2)既存の資料で有用性が認められないもの 3)臨床試験の実施が必要になるもの の3つが考えられます。
6月29日に再評価結果発表の第一弾として、効能が削除・変更になる17成分191品目の薬が発表になりました。今回は、他の効能・効果を持つ薬が対象で、それらの薬について慢性期の脳循環代謝改善に関する適応が削除になっています(いずれも胃炎や狭心症など別の適用があり、それらは認められています)。ですから、昨年のアバンなどのような薬価がいきなり削除になる薬は含まれていません。
再評価が指定された31成分中、11成分の薬が再評価を申請しました(同じ成分でも、メーカーにより対応が違い、再評価を申請したところもあれば、しなかったところもあります)。
再評価で'87臨床評価ガイドラインに沿った臨床試験が必要とされた場合、2年間でプラセボ(偽薬)を対象とした約1000例の臨床試験の実施が必要とみられます。これを行うには何億円という莫大な費用がかかります。薬価削除となることもあるので、そのことによる企業イメージのダウンを避けたいという製薬メーカーの思惑があり、初めから再評価を受けることなく、自ら販売中止にしてしまったメーカーもあります。脳循環代謝改善の効能・効果しかない薬でこの結果が出る前に、製造販売をやめてしまったものは8成分あります。6月29日に効能が削除・変更になった薬も同様に、リスクを避けたということができます。
患者さんにとっては、今まで飲んでいた薬が処方されなくなったり、他の薬に変更されることが考えられます。
なお、再評価の申請をした薬の結果が出る時期は未定です。厳しい結果になることが予想されます。
具体的な医薬品名については、福岡県薬剤師会のホームページ中の「脳循環代謝改善薬の再評価結果(平成11年6月29日)」(http://www.fpa.or.jp/IYAKU/IYA21.htm)を見て下さい。
(1999/07/06)
上に書いたように、11成分の薬が再評価の申請をしましたが、その結果が、9月14日に公表されました。
その中味は、脳循環代謝改善の有用性が認められなくて、他の薬効がないために薬価基準から削除されるものが2成分、脳循環代謝改善以外の薬効で今後も使用可能なものが2成分、有用性はあるものの効能・効果が一部変更されたものが3成分、残り4成分は有用性があるとみられ、再評価のために新たな2年間の臨床試験の実施が必要とされました。
これで、2年後に結論が出される4成分はあるものの、一連の脳循環代謝改善剤の見直しが済んだことになります。
なお、具体的な医薬品名は厚生省のホームページ中の「慢性期脳血管障害に対する脳循環・代謝改善効能を有する医薬品の再評価について」(http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1109/h0914-2_15.html)に出ています。また、分かりやすく書かれてあるものは、福岡県薬剤師会のホームページ中の「脳循環代謝改善薬の再評価結果(平成11年9月14日)」(http://www.fpa.or.jp/IYAKU/IYA24.htm)にありますので、そちらを参照して下さい。
(1999/09/19追加)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)