
他では聞けないくすりのはなし
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薬害のところで書いたように、妊婦がサリドマイドを飲んだことで奇形児がうまれたということがきっかけとなり、妊娠している時に薬を服用することは危険であるという認識が世の中に広まっています。(薬を妊娠中の女性が飲んだときに、胎児が奇形を起こす危険性のことを「催奇形性」または「催奇性」と言います)
しかし実際のところ、妊娠中に普通に薬を飲んでいて、催奇形性が問題になる薬はそんなに多くありません。 では何故、妊婦と薬が問題になるのでしょう?
私が受けた妊婦さんからのメールを拝見しても気が付くことがあるのですが、妊娠したことが後から分かって、そういえば薬を飲んでいたと気がつき、あわてるということがあります。また、妊娠していることを知らないで、医師(特に産婦人科以外の科で)が薬を出してしまうことがあるでしょう。薬を服用することの意義や安全性が充分に説明されていないために、患者さんが悩んでしまう場合もあるでしょう。
薬を飲む前なら、実際に妊娠していたり妊娠の可能性のある女性に対して、服用する薬のことを注意することができます。しかし、すでに服用してしまった薬の胎児に及ぼす影響について考えることは実は非常に難しいことです。それは、ヒトでのデータがほとんどないからです。
現在使われている薬が全て、妊婦への投与を十分に検討されている訳ではありません。
事実、薬の添付文書(薬の取扱説明書)を見てみると、実際その薬で催奇形性が認められたものは少ないです。書いてあっても、同じような系統の薬で催奇形性の増加が認められているので注意しろとか、妊婦への投与は安全性が確立されていないので、どうしてもその薬が必要な時だけ使うようにしろと書かれてあるというのが現状です。
当然、胎児への薬の影響を、ヒトでの実験をするわけにはいきません。治験の動物実験で(たいていの場合、通常量よりはるかに多い量を投与します)、ある程度の確率で胎児に奇形が認められたとしても、その結果を全てまるごとヒトに当てはめるわけにもいきません。不幸にも奇形児が産まれてしまって、それが妊娠中に服用した薬のせいだと考えられた場合に、そのような症例が集められて「この薬はヒトに対して催奇形性がある」ということになります。
ちょっと長くなってきましたので、続きは 妊婦と薬:はじめに(2) をご覧下さい。
(1999/10/17)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)