
他では聞けないくすりのはなし
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現行の日本脳炎ワクチンの接種を、原則しばらく中止にするそうです。日本脳炎にかかる方がこの10年間をみてみると、1年で数人しかでていないということと、ワクチンを接種することにより、重い副作用が出る危険性があるので、天秤にかけてしばらく中止ということになったようです。
ではまず、日本脳炎について調べてみましょう。
日本脳炎ウイルスはブタの体内で増殖し、蚊によってブタからブタにウイルスが広がります。一方ヒトは、ブタからウイルス感染した蚊に刺されて感染します。ヒトからヒトへの直接感染はありません。ウイルスの媒介蚊は、主にコガタアカイエカで、日本をはじめ多くのアジア諸国に生息しています。
世界的には年間3〜4万人の日本脳炎患者の報告があるそうですが、日本と韓国はワクチンの定期接種によりすでに流行が阻止されています。日本では、1966年の2,017人をピークに減少していて、1992年以降発生数は毎年10人以下です。そのほとんどが高齢者です。
日本脳炎に感染するとどうなるかというと、ウイルスを持つ蚊に刺されたあとも症状なく経過する場合がほとんどです。過去には、100人から1000人の感染者の中で1人が発病すると報告されています。しかし症状が出るものでは、6〜16日間の潜伏期間の後に、数日間の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、引き続き急激に、光への過敏症、意識がなくなり、脳の障害を生じます。症状が出る可能性は少ないのですが、症状が出た人のうち、約15%が死亡に至る病気といわれており、幼少児や老人では死亡の危険は大きくなっています。
●IDWR 感染症の話:日本脳炎
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_01/k02_01.html
●厚生労働省検疫所 海外感染症情報:日本脳炎
http://www.forth.go.jp/tourist/kansen/08_j_ence.html

従来の日本脳炎ワクチンを接種すると、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)という副反応が起きる危険性があります。予防接種によるADEMでは、通常ワクチン接種後、数日から2週間程度の間に発熱、頭痛、けいれん、運動障害などの症状が現れます。ADEMは1991年度以降に14例発生していて、うち5例が重症だったとのこと。特に2004年7月に山梨県の中学校の女子生徒が接種後に重い神経症状に陥り、現在も寝たきりであるという事例が起きたことが、今回のワクチン接種中止の措置に踏み切った大きな理由だと考えられます。
私の娘は名古屋市の小学校に通っていますが、学校から通知をもらってきました。名古屋市健康福祉局・保健所名で、小学校4年生・中学校3年生の保護者宛です。
「定期の予防接種における日本脳炎ワクチン接種の中止について」という文面で、厚生労働省から積極的な接種勧奨を差し控えるよう通知があったので、名古屋市としては、当面の間、現行ワクチンによる定期の接種を中止することにしたのでお知らせします、というものです。また、小学校4年生と中学校3年生の方については乳幼児期に日本脳炎の接種を受けておられれば基礎的な免疫ができているものと考えられます、とも書かれてあります。
従来の日本脳炎のワクチンは、マウスの脳を原材料とする50年代に確立した製法を採用しているとのことです。わずかに残留した脳成分で悪影響が出るのではないか、と問題視されていました。
武田や化血研、阪大微研などワクチン各社・団体は安全性高い新型日本脳炎ワクチン開発に乗り出したという情報が入ってきています。新聞報道によると、来年には供給可能だとか。その安全性の高い新ワクチンができたら接種を再開したいと厚労省は言っています。新しい製剤が出るまでの一時的な措置ということです。
今回のワクチン接種の中止勧告を受け、感染研の専門家は、「一時的な中止であれば特段安全上の懸念はないが、ウィルスがいなくなったわけではないので、長期間に渡って中止するのは危険」という見解をしています。そうですよね、まったく止めてしまうと、流行したときに危険ですから。
●厚生労働省:日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控えについて
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/05/tp0530-1.html
●厚生労働省:日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨差し控えQ&A
http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/nouen/index.html
(ちなみにwebで「日本脳炎」と検索したら、日本脳炎という名前のバンドがあるんですねえ・・・蛇足でした)
(2005/06/04)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)