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他では聞けないくすりのはなし

薬剤師の情報提供の義務(つづき)

 前回の話で、薬剤師の情報提供の義務ができたとはいえ、薬剤師の独断でやるべきではないと書きました。そのことを象徴するような事件がありました。
 長野県上田市は、医薬分業がすすんでおり、院外処方箋発行率が全体の処方箋の70%を越えている地域です。そんな地域の町の調剤薬局で、今回の薬剤師法改正に伴って、四月から薬の効能、副作用などを文書に記して患者に渡していたところ、その文書を見て一部の患者が「こんなに危ない薬は使えない」と、処方した医師に苦情を訴えたケースが複数ありました。その苦情を聞いた医師側は薬剤師が薬の副作用を説明することを「患者に不安を与えている」と受け取ってしまったようです。
 また、これとは別に、医師の診療について患者から問い合わせを受けた薬剤師が、病院側に「インフォームド・コンセント(説明と同意)が不十分なのでは」とただした事例もありました。
 それらのことが、薬剤師の情報提供は医師の診療に介入するような行き過ぎな行為であると認識され、医師側の反発を受け、その後泥沼化し、市医師会長が「処方せんの発行停止も考えざるをえない」と発言して大きな問題になり、最終的には上田薬剤師会の役員が総辞織する事態となってしまいました。
 どうしてこんなに話がこじれてしまったのでしょうか?
 思うに、医師と薬剤師とのコミュニケーションが不足していたのではないかと思います。事実、辞職した上田薬剤師会長によると、「医師会との交流不足など反省する点があった。医薬分業を守っていくためには、医師会との関係改善を図ることが必要である。」との話をしています。
 医師側としては、この薬はこのように説明して欲しいというものがあると思います。それを無視して、薬剤師が独断で副作用を説明してしまったと推測します。医師の意図とは別に、副作用のことばかり強調してしまうと、患者は薬に関して「こわい」という偏見を持ってしまいます。例えば、どこかで聞いた生半可な知識で、薬剤師が「この薬は発癌性があるので危ないから、飲まない方がいいですよ。」と説明すれば、誰だってそんな薬は飲みたくなくなるでしょう。

koewodai
 我々、薬剤師の仕事は単独で行うのではなく、チーム医療に心がけるべきです。医師の患者への薬物療法のサポートが使命であると考えます。そのことは、病院薬剤師も開局薬剤師も同様でしょう。
 薬剤師法が改正になって、薬剤師の情報提供が義務化されたとはいえ、医師との十分な話し合いなしに、薬剤師が勝手に薬の情報(副作用など)を患者に説明してしまうことだけは避けなければなりません。
 (医薬分業に関しては、後に詳しく書けたら書きます。)

 この項は、どちらかというと、薬剤師の間だけに通じる話のような気がします。薬剤師の内輪話と思って見て下さい。ご意見はこちらまでお願いします。

(1997/11/01)

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制作・著作: 佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

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