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他では聞けないくすりのはなし

間違えやすい薬 間違えてはいけない薬

 あってはならないことですが、薬の名前が似ているために、間違って患者さんに投与してしまうケースが実際あります。間違えた場合に、それほど危険性がない例と、非常に危険な例があります。今回、厚生労働省で公表された「医薬品・医療用具等安全性情報202号」で、「取り違えることによるリスクの高い医薬品に関する安全対策について」ということで、名前が似ていて間違えやすく、そして危険性が高い薬について安全対策が報告されています。
●厚生労働省「医薬品・医療用具等安全性情報202号」
 http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_anzen/PMDSI202d.html
そこで出されているのは、次の通りです。
1) タキソール − タキソテール
 抗がん剤で一文字違いのものに、タキソール(一般名パクリタキセル)とタキソテール(一般名ドセタキセル)があります。どちらも適応症が似ており、卵巣癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌で使われますので話がやっかいです。
 投与量から考えると、タキソテールの方がタキソールの約3倍強い薬であると言えます。ですから同じ間違いをするのでも、タキソテールを入れたいところをタキソールを入れてしまった場合はただ効かないだけなのですが、逆にタキソールの用量でタキソテールを投与してしまった場合、非常に危険な状態になります。
 製薬会社としては、どっちかが商品名を変えてくれればそれでいいんですがそうもいかないので、似ている商品名よりも全く違う一般名を大きく表示するなどして対応しています。
2) アマリール − アルマール
 血圧の薬アルマールを投与するつもりが、血糖降下剤アマリールを投与してしまった場合、非常に危険で、実際に死亡例もあります。
 高血糖状態というのは、ずっと続くともちろん危険なのですが、すぐに危険な状態に陥るわけではありません。しかし低血糖は、砂糖やブドウ糖などを摂取するなど適切な対処をしないと非常に危険です。
 製薬会社としては、アマリールのPTP包装に「糖尿病用薬」という薬の効きめを表示して、患者さんにも自分がどのような薬を飲んでいるかわかってもらえるようにして、対応しています。
3) ウテメリン − メテナリン
 切迫流・早産治療剤のウテメリンと子宮収縮刺激剤メテナリンは、名前は似ていますが、まったく逆の作用をします。ウテメリンを投与する切迫流早産患者に、誤って子宮収縮作用のあるメテナリンを投与した場合には流早産を引き起こすおそれがあります。
 製薬会社としては、これまで以上に薬の効きめや名前を大きく表示して、注意を促しています。
4) キシロカイン10%製剤 − キシロカイン2%製剤
 不整脈の薬キシロカインは点滴用の10%製剤(1アンプルでリドカイン1000mg含有)と、静脈注射用の2%製剤(1アンプルでリドカイン100mg含有)があります。点滴用の10%製剤をワンショットで投与してしまうと非常に危険です。
 特に緊急時に使用する薬なので、医師が「キシロカイン1/2アンプル静注して!」と現場で叫んで指示してしまうと、看護師さんは点滴用の10%製剤を手に取ってしまう危険性があります。なので、病棟の保管薬には10%製剤は置かない方がいいと、日本病院薬剤師会など関係団体から言われています。
 製薬会社としては、10%製剤に「点滴専用」「急速静注不可」「希釈確認」などの表示をして対応しています。
5) カリウム製剤
 注射用のカリウム製剤は、希釈して点滴で使われるのが基本です。それを希釈しないで、ワンショットで静脈注射すると危険です。医師から口頭で「この患者さんに塩化カリウム1アンプル入れておいて」と言われて、ワンショットで入れてしまったという事故が起きています。
 注射用のカリウム製剤は、毒薬でもなく劇薬でもないので、間違って投与してしまった場合の危険性が十分に認識されていない(特に新人に)かもしれません。危険性を十分に教育する必要があります。
確認OK
 患者さんの立場からすると非常におそろしいと感じられるかもしれませんが、気をつけろと言われても、人間のすることですから限界があります。人間はミスをするものです。そのミスをいかに最小限に食い止めるかのシステム作りが急がれるところです。
 具体的には、製薬会社は薬の名前の表示などに工夫をしています。また医療施設では、病棟保管薬に間違えやすい薬を置かないようにしなければならないと言われています。
 実は私、メディカ出版からでている「消化器外科NURSING」という看護師向けの専門雑誌に、患者さんへの与薬のトラブルシューティングという題材で連載が始まります。その初っぱな連載開始の8月号(7月中旬刊行予定だそうです)で、たまたまタキソールとタキソテールを間違えることの危険性を書いています。(出版社との契約で、ここへ掲載することはできませんけど・・・。)
<参考リンク>
日本病院薬剤師会「医薬品管理と患者安全に資する調剤方法の更なる徹底について」
http://www.jshp.or.jp/040511.pdf
日本医療機能評価機構「緊急提言」
http://jcqhc.or.jp/html/psp/teigenn.html
心臓血管外科専門医認定機構「緊急通告」
http://cvs.umin.jp/topic/040602.html

(2004/06/27)

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