
他では聞けないくすりのはなし
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不眠症と睡眠剤(2)
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患者さんの中には、睡眠剤を怖いと思っている人がいます。「飲み過ぎると危ない」「飲み始めるとやめられなくなる」といった不安があるようです。確かに、一般の方には、「睡眠剤 = 大量に飲むと死んじゃう」というイメージがあるのかも知れません。しかし、医師の指導のもと正しく使えば、怖くないものなのです。
以前、使われていた薬はバルビツール系の睡眠剤でしたが、今は特別な場合をのぞいて使われなくなってきており、そのかわりに、ベンゾジアゼピン系睡眠剤が主流になっています。いずれも脳の中枢神経に働き、興奮を静めますが、その作用する場所が違います。
バルビツール系は、呼吸中枢がある延髄を含む脳の全体に作用します。このために、大量に飲むと、呼吸が止まって死んでしまうこともあります。また、アルコールも同じ場所に働きますので、一気のみが危ないという理由が分かっていただけるでしょう。(寝酒がいいという方もいらっしゃるかと思いますが、酒はついつい量が増えてしまったり、毎日の習慣になってしまって、酒を飲まずには眠れなくなってしまう怖さがあります。)なお、太宰治が自殺を果たそうとした睡眠剤は、カルモチンという名前で、中味はブロムワレリル尿素です。これは、非バルビツール系に分類されますが、副作用として、バルビツール系と同じく、呼吸が止まることがある薬です。
さて、現在の睡眠剤の主流であるベンゾジアゼピン系は、脳の特定のところに働き、ストレスや不安などの情動や、痛みや暑さなどの感覚の刺激が、覚醒や睡眠をつかさどる中枢に届くのを妨げます。だから、呼吸が止まるなどといったことが少なく、比較的安全な薬であるといえます。
ベンゾジアゼピン系の中でも作用時間によっていろいろな薬があります。その効いている時間が短いものから挙げていきます。()内は商品名です。
1)超短時間の作用のもの(寝つきが悪いときや一過性の不眠に使います)
トリアゾラム(ハルシオン)、ゾピクロン(アモバン)、酒石酸ゾルピデム(マイスリー)
2)短時間の作用のもの(途中で起きて眠れなくなる場合や、朝早く目が覚めてしまう場合に使います)
ブロチゾラム(レンドルミン)、ロルメタゼパム(ロラメット、エバミール)、塩酸リルマザホン(リスミー)
3)中間型のもの(短時間の適応に加えて、日中に不安がある睡眠障害のもの)
フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)、エスタゾラム(ユーロジン)、ニトラゼパム(ベンザリン、ネルボン)
4)長時間作用するもの
ハロキサゾラム(ソメリン)、フルラゼパム(ダルメート)、クアゼパム(ドラール)

ベンゾジアゼピン系の薬は、比較的安全性が高くて、単独の大量服用での死亡例はないとされています。しかし、副作用がないわけではありません。次のような問題点が指摘されています。
1)夜中に起きるときの注意
筋肉を緩める副作用があり、夜中にトイレに立ったときに、ふらつきやめまいがすることがあります。転んでけがをすることもあるので注意が必要です。
<補足>
※ ベンゾジアゼピン受容体(薬がくっつくところ)には下の2種類あることがわかっています。
・ω1受容体:催眠鎮静作用をしめし、小脳などに多く分布しています
・ω2受容体:抗不安作用・筋弛緩作用をしめし、、脊髄・海馬などに多く分布分布しています
一般的に上に書いたベンゾジアゼピン系の薬は、この両方の受容体に作用します。
しかし、酒石酸ゾルピデム(マイスリー)とクアゼパム(ドラール)は比較的新しい薬で、ω1受容体だけにくっつくとされており、脱力や転倒などの副作用が少ないといわれています。
でも抗不安作用がないため、従来のものに比べて必ずしも効果面でいいというわけではありません。
(ちなみにωは「オメガ」と読みます)
2)アルコールと一緒に飲むと・・・・・
マスコミで取りあげられている副作用は、睡眠剤の濫用やアルコールとの併用によるものがほとんどです。アルコールと一緒に飲むと、例えば、不安・焦燥による攻撃的な行動(奇異反応といいます)を起こすことがあります。また、健忘症になり、飲んだ直後や、夜中に途中で目が覚めたときに、なんらかの行動をしたのを翌朝すっかり忘れていることがあります。
3)自分で勝手に飲むのをやめてしまうと・・・・・
睡眠剤をのんでいて、ほぼ満足する睡眠が得られるようになった段階で、突然飲むのとやめてしまうと、その反動で不眠症になることがあります。徐々に量を減らしていくなどやめる方法があるので、医師と相談して下さい。
と、まあいろいろ書いたのですが、ちょっとはお役に立つ情報でしょうか?要は一人で悩んでいないで、早めに医師の診断を仰ぐことが大事だと思います。
この話の前半は、不眠症と睡眠剤(1)にあります。ご覧になっていない方、戻りたい方はどうぞ。
※この項は、以下の文献を参考にしました。
(1998/09/27;2004/01/10更新)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)