ホーム > 他では聞けないくすりのはなし > 薬に関するいろいろなこと >

logo.gif

他では聞けないくすりのはなし

エッシェンシャル・ドラッグという考え方

 日本はやたらと薬の種類がいような気がします。しかもジャパンオリジナルの薬が多い。その特徴的なものが脳循環代謝剤でした。(そのことは 「脳代謝改善剤に効果なし」「脳循環代謝改善剤ふたたび・・・」「アニラセタムよ、お前もか!〜またもや脳代謝循環改善剤回収」「忘れかけてた脳梗塞後遺症の効能・効果の再評価」に書いています)。それでもなおどんどんと新しい薬がでてくるわけですが、本当にそんなに薬はいっぱいいるのか?という疑問がでてきます。薬を管理する薬剤師としては大変な問題であります。だいいち医者が使いたいと言った薬を何でも使えるようにしてしまうと、採用医薬品がどんどんと増え続けて収拾がつかなくなってしまいます。
 さてここでちょっと業界用語の説明をします。
 「ピカ新」とはいままで日本でかつてなかった新しい分類をされる薬剤を指します。ピカッと光る新薬の略だと思います。この種の薬は「新しい薬の値段の決まり方」で書いたように同じような薬と比べると高めの薬価がつきます。「ゾロ新」とは、従来の薬をちょっとだけかえたものです。従来の薬の構造式の一部を変えて(たとえばOH基をCOOH基にしたりなど・・・ちょっとわかりにくい?)、新薬として発売することを指します。ゾロゾロでてくる新薬の意味でしょう。私は病院薬剤師をしており、新薬の勉強会と称して製薬会社のかたが新薬の説明をされる機会があるわけですが、この「ゾロ新」の説明会はあまり面白くありません。結局「ゾロ新」なんてのは、特に特徴がなく、売り文句としても、従来の薬と有効性は変わらないけど副作用が若干少ないとか、今まで一日3回飲まなければならなかったものが一日1回でいいとか。なんでも一緒じゃんと個人的には思ってしまうんですけど。(なお、「ゾロ新」と「ゾロ品」(後発医薬品;こっちに書きました)は違います)
 でも製薬会社としても必死で、薬の公定価格である薬価がほぼ毎年どんどん下がってきますので、新薬をどんどんと開発して市場に出さないと会社がつぶてしまうという構図があります。それも患者さんが多い高血圧の薬をつくっておけば間違いがない。現在製薬会社も他の企業と同様に、あちこちで合併や業務提携が進んでいます(前はこの名前の製薬会社は、今なんていう名前になっているのか迷ってしまうことがしばしばあるくらいです)。
なぜか看護婦さん
 昔勤務していた病院の医師からこんな話を聞いたことがあります。結局、自分の使う薬というのは限られているし、新しい薬がでたといってもすぐに飛びつくのはどうかといったものでした。事実その先生の処方は昔から使われている薬ばかりでした。その時から、昔からある薬でも十分に治療は可能ではないか?という思いがありました。
 そこで表題のタイトル「エッシェンシャル・ドラッグ」という考え方です。("essential"は「必須」かならずなければならないものという意味です。必須アミノ酸は"essential amino acids"といいます;わざわざ説明しなくてもいい?(^_^;))WHOでは必須医薬品を選定しています。初めは開発途上国へ医薬品援助のためのガイドラインでしたが、「国民の健康を守るために、最小の出費で最大の効果をあげる」つまり治療にこれだけあれば十分というもので、先進国でも通用すると考えられます。
 「世界のエッセンシャルドラッグ」という訳本が三省堂から出版されています。この本にリストアップされている医薬品の数はわずかに312種類です。商品名で17,000種類、成分数で約2,400種類という日本国内の薬事情を考えると非常に少ないです。最小限の薬で最大限の効果をという考え方です。
 医療費の高騰が叫ばれている昨今、この考え方はイケテると思うんですけどねえ。
 関連する記事として「じほう 日刊薬業ヘッドラインニュース速報 平成14年1月29日付」でこんなのを見つけました。
■日本独自の必須医薬品リストを
 WHOの必須医薬品の概念を応用し、日本でも独自の必須医薬品リスト作成に向けた動きが出てきた。EBMの観点から薬物を選定することで、不必要な医薬品使用の制限、誤投与などの薬物事故防止、医療経済的なメリットなどを期待したもの。
<参考リンク>
http://www2.incl.ne.jp/~horikosi/No102.html
http://home3.highway.ne.jp/~mine/essential_drug.html
http://www.sphere.ad.jp/cont/Revised_drug_strategy/RDS.htm
http://www.japan.msf.org/access/access1.html

(2002/02/16)

 カテゴリに戻る

 

saty@d-inf.org

制作・著作:佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

(http://d-inf.org/drug/)