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他では聞けないくすりのはなし

バイコール〜日本だけ回収しなくていいの?

 ドイツの製薬会社バイエルが、高脂血症治療薬「バイコール(一般名:セリバスタチン)」の販売中止を決め、日本を除く世界各国で8日から自主回収の措置がとられています。別の高脂血症治療薬「ジェムフィブロジル(一般名)」と一緒につかうことで、死亡例を含む副作用が多発したためです。米食品医薬品局(FDA)のよると、31の死亡例を含む副作用報告があるとのことです。
 ドイツのバイエル社のニュース・リリースはこちら http://www.press.bayer.com/news/news.nsf/ID/NT0000DF92
 一般的な話として、セリバスタチンを含むいわゆるスタチン系薬剤には、まれな副作用として横紋筋融解症という副作用があります。しかし、セリバスタチンは他のスタチン系薬剤よりも顕著に死亡例が多いということです。これまでの報告から、高齢者、高用量の服用、またゲムフィブロジルとの併用で、横紋筋融解症による死亡が高率で認められているとのことです。実際のところ、31人の死亡例のうち、12人がゲムフィブロジルを併用していました。
 ●横紋筋融解症は筋肉がとけてしまうという怖い副作用で、具体的には手足の筋肉の痛み、脱力、赤褐色の尿がでるなどの症状がでます。おくすり110番http://www.jah.ne.jp/~kako/index.htmlhttp://www.okusuri110.com/fukusayo/fukusayo_db/fuku012.htmlに分かりやすく書いてあります。
 FDAのアナウンス
http://www.fda.gov/bbs/topics/ANSWERS/2001/ANS01095.html
http://www.fda.gov/cder/drug/infopage/baycol/default.htm
http://www.fda.gov/medwatch/safety/2001/safety01.htm#bayco2

大丈夫?

 さて、全世界で販売中止、回収という措置がとられているわけですが、日本では緊急の危険性はないということで、現在、製薬会社と厚生労働省で対応を協議している最中です。日本国内で販売中止・回収しない理由としてバイエル社は
  1. FDAによれば重篤な横紋筋融解症は高用量で多い。海外では0.4〜0.8mgという用量に比べ、日本では0.15mgが通常用量であり、承認最高用量が0.3mgと低用量だということ。
  2. 日本では発売以来、84例の横紋筋融解症の副作用自発報告を厚生労働省に提出しているが、横紋筋融解症による死亡例はないこと。
  3. 北米、欧州諸国における販売中止の措置は、ドクターレターにより、本剤とゲムフィブロジルとの併用禁忌や低用量からの投与開始について徹底を図ったにもかかわらず、横紋筋融解症(死亡例を含む)の発現が断続的に報告されており、ドイツ・バイエル社は添付文書による併用禁忌の遵守徹底は困難であるとの結論に至ったためであること。なお、日本では、ゲムフィブロジルは未承認であり、現時点では本剤と併用されることが無いこと。
とアナウンスしているようです。日本だけ特別措置という感じですが、本当に大丈夫なんでしょうか?ゲムフィブロジルの承認が早ければ来年という話もあるそうですが、一体その承認はどうなることでしょうか?
 日本では武田薬品工業と共同開発で、日本法人のバイエル薬品が商品名「バイコール」、武田が商品名「セルタ」で販売されています。現在服用されていてご心配な方は主治医または薬剤師にお問い合わせ下さい。
 <関係リンク>
http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/med/leaf?CID=onair/medwave/tpic/137331
http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/med/leaf?CID=onair/medwave/tpic/137358
http://www.cnn.co.jp/2001/BUSINESS/08/09/bayer/

(2001/08/14)

 <追加情報>
 8月16日、厚生労働省のホームページに、「セリバスタチンナトリウム製剤に関する供給企業への指導について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0108/tp0816-1.html)が掲載されています。厚生労働省が当該製薬会社であるバイエルと武田薬品に指導を行った文書です。販売中止・回収をしないものの医療関係者に情報提供を徹底しろという内容になっています。
 問題となっているゲムフィブロジルは日本国内では販売されていないのですが、同系統の一般名ベザフィブラート(商品名:ベザトールSR/キッセイ薬品など)をいっしょに使うのはリスクがありますし、さらに腎臓の機能が落ちている方へその二者を併用するのは横紋筋融解症の副作用が発現しやすいと言われています。
 個人的には、いままでの医薬品の販売中止の流れ、最近の例としてはシサプリドの件セデスGの件などの例を見てみますと、一度ケチのついた薬はいずれ消えゆく運命にあるのでは・・。今回の販売継続の措置は一時的なものだと勝手に思っています。

(2001/08/16追加)

 <さらに追加>
 やはり今回の措置は、一時的なもののようです。厚生労働省はセリバスタチン製剤の安全性情報を国内外から収集し、おおむね1か月以内に見解を改めて公表するのだそうです。今後、新たな対応策(日本国内でも回収をするということでしょうか?)を打ち出す可能性があるということです。
 米国では、セリバスタチンの副作用で死亡したと思われる患者さんの遺族から、損害賠償を求める訴訟が相次いで起きているそうです。
 http://www.usfl.com/Daily/News/01/08/0814_002.asp

(2001/08/20追加)

 <結論です>
やっぱり回収〜ちょっと早かった?
 メーカーが結論を出しきてました。やはりセリバスタチン製剤は日本国内でも販売中止・市場より回収の措置がとられます。武田・バイエルの自主的な判断だということです。この薬を飲んでいる方が海外旅行された時などに、ゲムフィブロジル製剤といっしょに飲む可能性が全くないわけではないので、リスクを避けるために撤退をするというのがメーカー側のアナウンスです。
 関係リンク
http://www.pharmasys.gr.jp/kaisyuu/kaisyuu2001_2-231.html
http://www.pharmasys.gr.jp/kaisyuu/kaisyuu2001_2-232.html
 もうひとつは、この一件でゲムフィブロジル製剤の日本国内での承認に道が開けたという見方もできます。セリバスタチンとゲムフィブロジルを天秤にかけたところ、ゲムフィブロジルが勝ったというところでしょうか。
 それにしても意外と早い対応でした。先週は大丈夫だと言っていたのに、今日になって回収とは・・・。一番はじめから日本を含めての全世界での回収というわけにはいかなかったでしょうか?

(2001/08/23追加)

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制作・著作:佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

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