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他では聞けないくすりのはなし

インフルエンザに危険な解熱鎮痛剤

 以前、「解熱剤の適用の可否」の項で熱が出たからといって、解熱剤を安易に使うのは危険であると書きました。特に、インフルエンザにかかっている患者に使うのは脳炎・脳症になるリスクが高まるという報告があります。その報告は「医薬品等安全性情報158号」中「インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用について」(http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1201/h0114-2_a_15.html#3)にあります。そのデータは11年度のものです。
 今回11月15日付で12年度のデータが公表されました。これによると、ジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレンなど)をインフルエンザ脳炎・脳症の患者に投与した場合、死亡率が高くなるというものです。厚生省は、同剤との明確な因果関係は不明だとしながらも、インフルエンザ脳炎・脳症の患者に投与することを禁止する旨、製薬会社に指示をしたとのことです。
 理由は、昨年度に引き続き、ジクロフェナクナトリウム使用群について有意性をもって、死亡率が高いとする結果が報告されたことがまず第一点。それからインフルエンザ脳炎・脳症にかかった患者には脳や全身の血管の障害が見られ、一方ジクロフェナクナトリウムは、血管内皮の修復に関与するシクロオキゲナーゼという酵素を抑制する作用が強いことが海外の臨床的研究で報告されていることと考えると、インフルエンザ脳炎・脳症でみられる血管障害の修復を遅らせるおそれがある、ということからです。なお、研究班は、補足で「解熱剤だけが原因でこの病気が起きるわけではありません」としています。
 厚生省の発表を受けて、日本小児学会は、解熱剤の投与は慎重にし、どうしても投与しなければならないときは、より安全だと思われるアセトアミノフェンにすべきであるとコメントしています。(同サイトには「インフルエンザ関連脳症についての見解」が掲載されています)
 また、インフルエンザ脳炎・脳症について、厚生省研究班の治療検討部会は17日までに、有効と考えられる治療法などを記載した医療機関の対応マニュアルを試案としてまとめて、重症患者を受け入れる全国二〜三千の病院に配布するという情報が報道されています。

こどもがすやすや

 ジクロフェナクナトリウムの坐薬の適応症には、整形外科領域や手術後の鎮痛・消炎のほかにいわゆる風邪の適応症として「他の解熱剤では効果が期待できないか、あるいは、他の解熱剤の投与が不可能な場合の急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の緊急解熱 」とあります。つまり解熱剤の第一選択薬ではないということです。ずっとボルタレン飲んでいるんだけれど、ニュースを聞いて心配になっちゃったという声も聞こえてきました。ボルタレンを投与することによって、インフルエンザ脳炎・脳症が起きるわけではありませんが、その症状の重症化に関与している可能性があり、予後が悪化するおそれがあるということです。
 なお、インフルエンザそのものに関しては、以下のサイトが有用です。

(2000/11/17;2000/11/20更新)

(追加情報)
 小児のインフルエンザに対して、ジクロフェナクナトリウムを使わないようにという情報は上に書いたとおりですが、この5月30日に厚生労働省は「小児のインフルエンザに伴う発熱に対して、メフェナム酸(商品名:ポンタールなど)製剤の投与は基本的に行わないことが適当である」との結論に達したと発表しています。

(2001/06/02追加)

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制作・著作:佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

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