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他では聞けないくすりのはなし

抗生物質とお酒とのおいしくない関係

 以前、「薬と食べ物・飲み物の相互作用」の項で、若干書きましたが、今回は、抗生物質とお酒との関係について書きます。
 抗生物質は、手術の後とか、風邪ひいたときによくだされる薬です。体の中の菌を殺す薬です。その抗生物質のうちの一部のものがお酒と一緒に飲むと、顔が赤くなる、気持ち悪くなる、めまい、心臓がどきどきする、血圧が下がるなどのいわゆるひどい二日酔い状態になるものがあります。
 その話の前に、体内でのお酒の変化を書いておきます。
 アルコール(エタノールCH3CH2OH)は体の中でどの様に変化するかというと、肝臓でアルコールデヒドロゲナーゼという酵素によりアセトアルデヒド(CH3CHO)になり、更にアルデヒドデヒドロゲナーゼにより酢酸(CH3COOH)になり、最終的には炭酸ガスと水に分解されます。
 二日酔いの主な原因は、アルコールデヒドロゲナーゼはよく働くのに、アルデヒドデヒドロゲナーゼが働かず、体内にアセトアルデヒドが溜まってしまうことによります。それは、アルコールをたくさん飲んでしまって、その代謝の処理能力が追いつかないという場合もありますし、もともとアルデヒドデヒドロゲナーゼが少ない人(いわゆる下戸)もいます。
 (二日酔いについては、「webの医学」(http://www.j-mac.co.jp/medi/index.html)が大変参考になります。)

 ということを知った上で、抗生物質の中でもセフェム系抗生物質と言われている薬、その中でもNーメチルテトラゾールチオメチル基というものを持ったものに特異的に出る作用です。それらのものが、アルデヒドデヒドロゲナーゼの働きを鈍らせるためにアセトアルデヒドが血液の中に溜まってしまい、ひどい二日酔いと同じ症状が現れるのです。
 例えば、厚生省に報告されているものを紹介しますと、急性胆嚢炎治療のため、セフォペラゾンナトリウム(CPZ)を1日に1〜4gを7日間、投与された患者さんが、その薬の投与7時間後に、退院祝いということでビール1杯を飲んだところ、頭痛、嘔吐があり、中ビン1本飲んだ後に、気分が不良になり、嘔吐・頭痛がひどくなり入院された例があります。この方は、元来大酒家で、ビール1本程度では酔ったことはないということです。
 ほとんどの症例で、特段何も処置せずに安静にしていただけで、副作用症状は消失しています。しかし、血圧が下がりすぎたり、けいれん、ショックなどの重篤な症状が出た時は、一般的な救急処置が必要になる場合もあります。
 では、具体的にどんな抗生物質がそのような症状を引き起こすのか?一覧表にしてみました。
(3位の側鎖にNーメチルテトラゾールチオメチル基を有するセフェム系抗生物質)

一般名

略号

主な商品名

セファマンドールNa

CMD

ケフドール

セフメノキシム塩酸塩

CMX

ベストコール

セフォペラゾンNa

CPZ

セフォビット、セフォペラジン

セフピラミドNa

CPM

サンセファール、セパトレン

スルバクタムNa/セフォペラゾンNa

SBT/CPZ

スルペラゾン

セフメタゾールNa

CMZ

セフメタゾン

セフォテタンNa

CTT

ヤマテタン

セフブペラゾンNa

CBPZ

トミポラン、ケイペラゾン

セフミノクスNa

CMNX

メイセリン

ラタモキセフNa

LMOX

シオマリン

 上に書いた抗生物質が投与されてから、少なくとも7日間は飲酒を控えて下さい。特に注射の点滴の場合、どんな抗生物質が投与されたか、患者さんには分からない場合が多いかと思いますが、そのような時はかかっている医療機関に問い合わせて下さいね。
(今回は、カタカナが多発してしまいましたね(^_^;))
(この項は、月刊薬事vol40, No4 235-238を参考にしました)

(1998/08/13)

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制作・著作: 佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

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