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他では聞けないくすりのはなし

アセトアミノフェンに対する誤解

 はじめに

 埼玉県で起きた保険金詐欺事件で、大量のアセトアミノフェンを含有するOTC風邪薬が使用された疑いが強いとのマスコミ報道がありました。その報道を見られて、一般の方から、そのような危険な薬を飲んで大丈夫だろうかという心配のメールを受けました。今回は、アセトアミノフェンに関する世間の誤解を解こうと思います。

 アセトアミノフェンとは?

 アセトアミノフェンという成分は、一般的な風邪薬の中に鎮痛解熱薬として入っています。現在200種以上の製剤が販売されていると言われています。また、医療用医薬品(医師の処方箋が必要なもの)としても処方されており、私も調剤し、患者さんにお渡ししています。痛いとき、熱があるときに使う薬で、それを飲んだからといって風邪そのものを元から治す薬ではありません。一時しのぎの薬です。風邪薬や痛み止めとして、普通の量を普通に使う分には比較的安全な薬であり、効き目が優れていると言えます。解熱鎮痛剤一般に言えることですが、胃を荒らすことがありますので、空腹の時飲むのは避けた方がいいでしょう。

 大量に飲むと

 大量に服用すると肝臓・腎臓・心筋に重い障害を起こすことがあります。特に肝臓の障害は、劇症肝炎( 劇症肝炎については、「最近分かった劇症肝炎を起こす薬」の項に書いています)に進行することもあると言われています。体重60kgの人で約9gが中毒量、約12〜60gが致死量とされています(なお風邪薬などの1回分の含有量は数百mgです)。ボケたお年寄りが食べるものと間違えて大量に誤飲してしまい、病院にかつぎ込まれるケースがあります。
 アセトアミノフェンは体内で、N-アセチル-P-キノネミンというものに変化をし、それが毒性をあらわすとされています。大量に服用することによる肝障害は、早期に解毒剤(N-アセチルシステイン)を投与し治療すると軽減できると言われています。

お酒

 アルコールと一緒に飲むと

 アルコール常用者では比較的少ない量で肝臓障害を起こすことがあります。アルコールによって体内で、N-アセチル-P-キノネミンが大量にできるためです。アルコールと一緒に飲むのは避けなければなりません。

 市販薬として売られていて大丈夫?

 日本薬剤師会は、市販の風邪薬が殺人事件に使用された疑いが強いとのマスコミ報道を受け、関係者に風邪薬等の販売体制を再度徹底するよう通知しました。同種同効薬を大量に購入したり、頻繁に購入するなどの不審な点がある場合は消費者に購入理由を尋ねるなどの確認を行い、医薬品の不適正な使用が疑われる場合は販売しないこととしました。
 再三言いますが、アセトアミノフェンは普通の量を普通に飲む分には、心配することはない薬です。ただ大量に飲んだり、アルコールと一緒に飲むことは非常に危険です。

(2000/04/02)

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saty@d-inf.org

制作・著作:佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

(http://d-inf.org/drug/)